著者 : 上宮将徳
為政者との軋轢により、ビムラの地を離れることとなった山猫傭兵団。新天地の候補として招かれたのは大国メンシアード。かの地は文官と武官の対立が深刻化していた。亡き父の無念を晴らすため、王位奪取を目論む大将軍エルメライン。補給を失った軍は一丸となって王都への侵攻を開始する。これに対抗するのは国王代理、プリスペリア内親王。この稀有な才媛は国難を秘密裡に打開するため、山猫傭兵団に対しその迎撃を依頼した。精強無比のウルズバール騎兵を率い、五〇〇〇の軍勢と対峙することとなったウィラード。それまでの常識を覆すはずだった騎馬戦術。しかし経験の浅さを突かれて……。
山猫傭兵団の戦力増強のためにウルズバールの地に向かったウィラード。かつての知り合いであるヒルシャーンを説得し、馬と部族の若者達を仲間に加えてビムラへと帰国することになった。しかし、想定よりも人数が膨れ上がったことにより、ウィラード一行の戦力はもはや、軍と言っても差し支えないほどになっていた。ビムラに帰るまでにはいくつかの国を通過しなければならず、国境の関所に見とがめられ、通行を拒否されてしまう。融通の効かない相手に焦れたウィラード達は腕試しとばかりに強行突破を計画しーー。
傭兵団同士の抗争に勝利し、ビムラの最大手にまで登りつめた山猫傭兵団。それは業界内の勢力図が大きく塗り替わり、大きな注目が集まることを意味していた。団員たちの生活向上のため、密かに商工ギルドに属さない商売を始めたウィラード。しかし、傭兵が自分たちの既得権益に侵食してくることを権力者たちが許すはずがなかった。ビムラ中央会議議長、エルツマイユが選んだ方法はそれを潰すことではなく懐柔。「本日はそちらのウィラード・シャマリ殿に、おめでたいお話をお持ちいたしました」長老会からの使者によって持ち込まれた縁談。それは団員たちを巻き込んでの大騒ぎを呼び起こす。なぜなら、結婚相手として選ばれたのが……。
隣国パンジャリーの内戦によって大きな功績を挙げたウィラード。その才能は山猫傭兵団の内部より、むしろ外でこそ評価されつつあった。かつての強敵、火神傭兵団が引き抜きを企て、女傭兵ミュアキスが派遣されてきている。彼女の存在はモテない団員たちの嫉妬を煽り、ウィラードの団内での立場を悪くさせていた。戦争の影響はビムラの町にも波及し、負け組についた傭兵団の多くが解散の危機に瀕していた。傭兵たちが所属先を失うことを憂慮した傭兵ギルドのソムデンは、山猫傭兵団に対して新入団員の受け入れを要請する。「ウィラードさん、あなた今、自分で思っている以上に重要人物ですよ」
いくつもの仕事をやり遂げ、山猫傭兵団の事務長として認められたウィラード。とはいえ、王立大学院に戻ることなど遠い未来の話にすぎなかった。先の任務の影響は隣国パンジャリーを二分する事態にまで発展していた。貝殻亭を訪れたリリアレット。それはかつて命を救ったブロンダート殿下よりの使者だった。「戦いはすぐそこに迫っている」軍資金とともに、山猫傭兵団には王太子陣営への参陣とビムラの傭兵の取りまとめが要請される。団長の安請け合いから丸投げされた仕事をこなし、ようやく漕ぎつけた出発前の壮行会。用意されたご馳走に沸き立つ団員たち。そこに侯爵家の三男坊を名乗る珍客、ディデューンが現れるのだったーーー。
「傭兵」それは、勇ましい呼称と裏腹に、この時代において最底辺とされる職業である。王立大学院の学生ウィラード・シャマリは、順調にエリート街道を歩んでいた。しかしある日、伯父である傭兵団長ガイアスバインに、事務長の代わりをしてほしいと頼まれる。義理と進路との狭間で悩み、王立大学院を休学して、傭兵となることを決意したウィラード。しかし、いざ仕事にとりかかろうとしても、エリートに向けられる傭兵たちの目は厳しかった。「お前らが毎日パンと肉を食えるようにしてやる」大勢の前で大見得を切るウィラードだったが、団の運営は想像した以上にいいかげんだった。幼馴染で妹分のイルミナ、万夫不当の勇者ティラガ、旅の途中で知り合った少年ジュラス。数少ない仲間の協力のもと、ウィラードは悪戦苦闘しつつも、仕事の割り当てや食糧の確保、団員の教育などに取り組んでいくことになる。