2025年12月15日発売
貧困にあえぐ少年ミーシャはある日、少女と間違えられその身を美貌の伯爵に買われる。これで貧乏から抜け出せるーーそう思ったのも束の間。実は伯爵は”呪い”を生業としており、ミーシャはその生贄として買われたのだった! 家族が助かるなら死んでもいい。そう命を差し出すミーシャだが、既に9人の少女を犠牲にしてきた伯爵は、唯一の少年であるミーシャに《死なない生贄》になれる可能性を見出しており……。 「この私の、特別になってみせろ」 「僕は伯爵の特別になりたい」 孤独を抱えた二人が、やがて運命さえも分かち合う。異色のシンデレラストーリー、開幕! ■□■□■□■□■□■□■□■□ 登場人物 ミーシャ 呪い返しを受ける生贄になった少年。伯爵のため、《死なない生贄》になれるよう試行錯誤中。 レノ伯爵 他者を呪い殺す力をもつ美貌の青年。高貴な者としての責任感が強く、時には犠牲も厭わない。
不死の呪いを持つ少女・麗娥(れいが)は、十八の時に故郷を敵国に焼かれるが、死ぬこともできず何十年も生きながらえている。 唯一の心の拠り所は、呪いを解いてくれるという「運命のつがい」の存在だけだった。 100年の時を生きた頃、遂に「運命のつがい」である楷翔(かいしょう)と出会う。 これで呪いが解けると喜ぶ麗娥だったが、期待とうらはらに楷翔は彼女を捕らえて王宮へ連れて行く。 どうやらこの国では長年まともな王が立たず、荒廃の一途をたどっていたのだが、占星術師が「不死の呪いを持つ少女が次の帝を指名すれば混乱は収まる」と予言したらしい。 王宮に着いた麗娥は、三人の皇子候補の中から帝を選べと迫られる。 当初は呪いを解くために楷翔を求める麗娥だったが、やがて国の惨状や皇子たちの事情を知り、国を救うために皇子たちの中から帝を選ぶか、自らのために王宮を逃げだして庶民である楷翔を選ぶか揺れ始める。一方で楷翔も徐々に麗娥に惹かれ、彼女の呪いを解く方法を独自に探し始めて……。 運命に翻弄される二人が選び取る、最善の道とはーー。 序章 九十九年の悪夢 一章 皇帝のいない国 二章 蓬莱の呪い 三章 嫌う理由 四章 血に染まる 五章 夜を越えて 六章 百年の夢 七章 焔に抱かれ 終章 つがいの妃は空の玉座を守る あとがき
試練を乗り越え、互いに特別な存在となった透子と千尋。 だが長年の封印が解かれ鬼の首魁が復活した今、状況は緊迫している。 千尋の父・真千の身体を奪った首魁は行方をくらまし、その間も鬼による被害は後を絶たない。 事実上の最終決戦を迎えた透子たちは、首魁に対抗できる唯一の方法だという初代守り姫が遺した刀を探すことに。 神坂家の総力をあげて鬼狩りに当たる中、無能のはずの千尋の非凡な力も明らかになる。 しかし首魁にとっても重要な意味をもつその力が、鬼たちに狙われてーー。 プロローグ 第一章 束の間の平穏 第二章 それぞれの正義 第三章 果たされた約束 第四章 相容れぬ 第五章 理想郷 エピローグ
社会人二年目、生真面目な二葉は突然のノー残業デーを持て余し、手芸喫茶『自由時間』を訪れる。 亡き父が遺した編み針を持ってきたものの、初心者の二葉は作る物も決められない。 まごつく二葉の前に現れたのは同僚のユウだった。 整った容貌で人気を集めるユウは、会社では秘密にしているが熱心な編み物好き。 くだけた関西弁で話す素のユウの手ほどきで二葉は編み物を始める。 ただ没頭する静かな時間やユウの飾らない言葉に、こわばった心は少しずつ癒え、目を背けてきた父の記憶や自分自身と向き合う勇気をもらってーー。 目次 第一章 エコたわしと雪の日特製ブレンド 第二章 幸せのクマさんと桜とビーフシチュー 第三章 小さな怪獣さんと思い出のかぎ針編み 第四章 青空の下のぴりっとサンドイッチ、アボカドを添えて 第五章 ふわふわミルクのほろにがカフェラテ 第六章 お花見弁当、枝豆チーズのおにぎりどうぞ
皇帝の娘だがその出自から《微塵子》と呼ばれて育った彩玉。 敵国に嫁がされるも白い結婚で離縁されるなど散々な人生をおくる。 仕方なく出戻れば、祖国は異母兄によって粛清され、混乱の残る後宮の立て直しを命じられてしまう! 目立つことを嫌う彩玉は美しき宦官・麗豹の力を借りるが……「無理ぃぃ逃げたいぃ!」 陰謀渦巻く後宮で弱小長公主は生き残れる……のか!?
【改変歴史警察小説三部作、堂々の完結!】 日露戦争終結から12年経った大正6年。 敗戦した日本は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許していた。 11月、ロシアで過激派が蜂起し、臨時政府から政権を奪取したとの情報が入る。 一方、警視庁の新堂は水死体の引き揚げ現場に遭遇し、牛込署の中西と事件の捜査を始めた。 ロシアで勃発した革命の影響が、日本にも着実に忍び寄っていたとは知らずにーー。 ロシア占領下の東京、矜持をかけた潜入捜査が始まる。 大きな歴史のうねりの中で、特務巡査としての任務を全うする一人の男の物語、ついに完結。 【著者略歴】 佐々木譲 (ささき・じょう) 1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」で第55回オール讀物新人賞を受賞。90年『エトロフ発緊急電』で第43回日本推理作家協会賞長編部門、第8回日本冒険小説協会大賞、第3回山本周五郎賞を受賞。2002年『武揚伝』で第21回新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で第142回直木賞を受賞。16年に第20回日本ミステリー文学大賞を受賞。 『笑う警官』にはじまる「道警シリーズ」のほか、『ベルリン飛行指令』『制服捜査』『警官の血』『沈黙法廷』『抵抗都市』『帝国の弔砲』『遥かな夏に』など著書多数。