奇智彦が摂政になって間もなく。東国を治める豪族の長、祢嶋太刀守が三〇〇〇の兵を率いて王都を取り囲む。太刀守は、娘を奇智彦の妻にすると取り決め、姫を残して去ってしまう。「自分の手足となる軍隊」を切実に求める奇智彦だが、先立つカネがない。そんなとき、奇智彦の許嫁となった“白い妖巫”-愛蚕姫が、妖しく囁く。「殿下。借財にもコツというものがあるのですよ」-銃口は火を噴き、自動車は公路を逆走し、熊相撲の笛は闇夜をきりさく。黎明の王国に、新たな謀反の風が吹く!