2006年7月5日発売
林首相は、戦前から台湾自治を求めて、台湾議会設置請願運動を行ってきた活動家だ。ついには日本帝国議会でも請願の演説を行い、万雷の拍手を送られたこともある。だが、四五年。アメリカ政府から彼に渡された国は、琉球台湾連邦という、いびつなものだった。日本軍国主義を潰せばアジアでの問題は消滅する。広大な中国市場は、待ち焦がれていたアメリカと熱く抱き合うだろう、などと考えている連中。その夢見がちなニューディーラー達が支えるアメリカ民主党政権は、この地域の複雑性などまったく理解していない。彼らは、“ジェネラリッシモ”蒋介石が、沖縄を大琉球、台湾を小球琉と呼んでいた明代の故事を持ち出すと、あっさりとその島々の所有権を中国に認めた。そしていかにもアメリカらしく、沖縄と台湾をまず“民主的に統合”して、近代国家とし、中国にプレゼントすることにしたのだ。
国境を挟み、宋遼二国は一触即発の状態に。宋の北辺を守る楊業と息子たちの前に、遼の名将・耶律休哥が立ちはだかる。神出鬼没、白い毛をたなびかせて北の土漠を疾駆するこの男は、「白き狼」と恐れられていた。意のままに動く赤騎兵を従えた「白き狼」の出現に、さすがの楊家軍も、思うように動けない。▼楊一族を苦しめたのは、敵将ばかりではない。力はあっても新参者の楊業に対し、宋軍生え抜きの将軍、文官たちが、次々と難問を突きつける。建国の苦悩のなかで、内なる戦いも始まっていたのだ。▼運命に導かれるように戦場に向かう男たち。天はいずれに味方するのか。滅びゆく者たちの叫びが切々と胸に迫る。最後の場面のためにそれまでの850枚があったかと思わせる感動のクライマックス。この先を読みたい、との読者の熱い要望に応え、著者は現在、続編「血涙」を執筆中だ。「水滸伝」に勝るとも劣らない英傑たちが活躍する北方『楊家将』、怒涛の後編。 ●第七章 前夜 ●第八章 遥かなる戦野 ●第九章 われら誇りこそが ●第十章 やまなみ