作者 : イシコ
レイニーは北の国に暮らすお弁当屋さん。元々は死と実りの神ソランジュだったけど戦争を引き起こした罪で人間として謹慎中だ。レイニーが一緒に暮らすダリアはソランジュの友、ハルヴァの生まれ変わり。人間が怖いけど歌手になるのを夢見ている。ある日、作り続けてきたダリアの歌がついに完成し酒場でお披露目をすることに。だが、お披露目の前日にレイニーはこの世界の創造主から呼び出しを受けてしまう。神に戻るか、人として生きるか。レイニーはどんな道を選ぶのか?
今日は死と実りの神ソランジュの神殿でみんな一緒に大掃除! 北の国の民が大勢集い、神殿はお祭りのような賑やかさ。元ソランジュで今は人間のレイニーもしぶしぶ参加して人々と時を分かち合う。大掃除の後、お神酒を飲んだライラックは酔っ払い、気付くと小雨降る庭に居た。そこは『とある魔物の心の隙間にできた小さな小さな箱庭』。そこでライラックは一人の女性と出会いレイニーの秘密を聞く。人と魔物と神。皆それぞれが胸に抱える『隙間』が明かされていく。
彼女の名前はレイニー。昔はソランジュという名前の邪神だったが、今はお弁当屋を営む人間だ。同居人のダリアは歌手を夢見ているが生まれつき人間が怖く苦労が尽きない。名前も持たない病の神はレイニーの神としての力を奪うことを渇望する。身寄りの無い少年はレイニーから大事なことを教えてもらう。どこか隙間がある者たちと共にレイニーは生きる。彼女の目的が叶う時まで。
「高さを出す事、隙間を埋める事。丸い形も歪な形も、型に入れば同じ事」レイニーは一日一善をモットーにする弁当屋であり、実は謹慎中の『神』。戦争を引き起こした罰を受け、今は人間として生活している。相棒ニワトリのチュンちゃんに、歌手を夢見る同居人のダリア、弁当を買ってくれるお城勤めのライラック。様々な者と共にレイニーは生きる。かつて邪神と呼ばれた彼女が生きる理由は今のところ‥‥『明日の弁当のおかずを考える事』である。